古い曲を新しい機体で、その2
ここ数年は激動に次ぐ激動で、日々の生活に追いまくられていました。
一番大きな変化は大病を患った事と、居留地が住み慣れた故郷から遠く離れた帝都へと変わった事です。
引越にあたって最後まで悩んだのがエレクトーンの処遇でした。
異動が決まった時点で部屋の広さは三分の一以下になる事が予想されたので、とてもではないけれど全ての家財道具を持ってはいけません。
では何を残し、何を持っていくのか。
そもそも狭過ぎる部屋にエレクトーンは入るのか。
どちらを持っていくのかは、重量的問題で結局D-DECKに軍配が上がりました。
確かに表現の幅は各種タッチやVAによって自由度の高い演奏ができ、自分の手に馴染んでいる意味からもEL-900mの方がずっと上ですが、何をするにしてもその重量が壁となって立ちはだかります。
それに、購入して凡そ十七年。
移送中に万が一壊れでもすれば、悔やんでも悔やみきれません。
そうしてD-DECKと共にやってきた帝都は聞きしに勝る高温多湿地獄でした。
エレクトーンに限らず、電化製品が劣化しそうです。
故郷にいた時は殆ど回転しなかったMacのファンが、何かする度に高速回転するようになって若干不安が残ります。寒冷地仕様は良く聴きますが、高温多湿仕様でなくて大丈夫なのでしょうかと不安になるレベルです。
体調の許す限りは演奏を続けていきたいと思っていましたが、まずは仕事が多忙過ぎ、気温と湿度が身体に合わなさ過ぎて、演奏頻度が大幅に下がってしまいました。
それに、病気の予後と副作用が思ったよりも身体に負担を強いたせいで、演奏に必要な筋肉と聴音機能がほぼなくなってしまいました。
Tendernessや素敵だねを聞き返すと、ピッチがかなり上にずれているのが今更解ります。
演奏した当時はあれで合っているように思っていました。
あぐりで一旦快方へ向かい、Yesterday Once Moreでまたぶり返し、結局今もまだ微妙に正しいピッチを拾う事ができないままです。
D-DECK演奏で余りピッチの違和感がないように聞こえるのは、タッチ奏法の違いです。
EL-900mと違って常時ホリゾンタルタッチでピッチベンドを充てている訳ではないので、設定したピッチで鳴っているだけなのです。
その代わり、劣化してしまった筋力でアフタータッチ・ピッチベンドを正確にあて続けるのに苦労しています。
今は肩から指にかけての筋トレと、原曲を只管聴き続けてその音を覚えていく方式で凌いでいます。
そして、前段でも書きましたが、ずっと練習し続けていたCarrieを漸く完成させる事ができました。
ピッチ変更は全てアフタータッチ・ピッチベンドです。
正直、2014年の演奏の方が良かったような気がしますが、今の自分でできる精一杯として記録に残しておこうと思います。
古い曲を新しい機体で
ゲーム曲を弾くのも楽しいけれど、自分は古い曲を弾くのも同じくらい好きです。
ニコニコ動画には殆ど残していませんが、YouTubeには一部残したものもあります。今聞き直してみるとへっぽこにも程がある演奏ですが、どれも愛着があります。
STAGEAにしないの、と何度か聞かれた事もありましたが、一昨年までは買い替える事など全く考えてもいませんでした。
正直アンプの性能からいっても、各種タッチの扱い易さやレジストレーションの組み易さなどからいっても、自分には今のEL-900mで必要充分だと思っています。STAGEAモデルの鍵盤問題も何度か聞いていて、また自分の目でも実際にその状況を確認してもいて、これに百万円以上もかけるのはちょっと……とも思っていました。
しかし昨年、大和屋一座によるホイホイシリーズにお邪魔させて頂く内に、STAGEAとD-DECKの演奏を間近に見る機会が(録画した動画越しとはいえ)何度かありました。
奏法の違い、或いはレジストレーションの組み方によっては驚く程違う音に変貌していました。
特に気になったのが全体的なリズムセクションの違いと、エレキギターなどに代表されるディストーションとオーバードライブの扱いでした。
EL-900mでもディストーションをかける事はできますが、何とも微妙な音色です。Melodies of LifeやThe Strangerでも使っていますが、聞いての通りおとなし過ぎるというか可もなく不可もなくというか、鍵盤で代替的に弾いてます感が抜けないものです。
それにリズム音の低音部分の鳴りがかなり好みでした。EL-900mだと若干軽いのです。
そんな訳で約一年、散々迷った末にD-DECKを迎えました。最終的にD-DECKにしたのは、EL-900mとの差別化を図るためです。
今まで通り、細かなタッチ奏法はEL-900mで、それ以外をD-DECKに任せる方式です。
迎えて初めて弾く曲は既に決めていました。
それがこの動画です。
※YouTubeへ飛びます。
タッチ周りがまだ固いですが、EL-900mとは違った弾き方を試行錯誤しています。
ディストーションとオーバードライブもまだ悩み中ですが、概ね納得のいく方向性でレジストレーションを組めました。
次に取りかかったのがジャズです。
今程ゲーム曲を弾く前はジャズやスクリーンミュージックばかりを弾いていたので、D-DECKでどこまでついていけるか練習中です。
※こちらもYouTubeへ飛びます。
レジストレーションも旧機種と似通った形で作ったところと、新しいものに置き換えたところがあります。
ホリゾンタルタッチがないので、やはり肝はスライドとアフタータッチですね。